前田圭介／UID

南に富士山を仰ぎ、眼下に甲府盆地を一望できる丘に位置する「サントリー登美の丘ワイナリー」のリノベーション計画である。販売する日本ワインのリブランディングに伴い施設の体験価値の向上から既存ワインショップのリニューアルが求められた。今回のリニューアルに際して日本ワインの美意識とこの地でワイン造りを歩んできた歴史性を空間化できないかと考えた。山梨は冷涼な気候で少ない降水量に加え、日照時間が長いことからぶどう栽培に恵まれた環境がある。サントリーは100 年以上にわたり広大な丘で一貫した日本ワイン造りを行ってきた歴史があり、なかでも特筆すべきは山をくり抜いてつくられた熟成庫であった。洞窟のヴォールト天井が特徴的な空間との親和性を高めるためにショップのリノベーションにおいても幾つかのデザインコードを継承した。ヴォールトの形態やテラスのレンガなどのマテリアルである。葡萄農家の人たちが丹念に育て上げたワインと絶景が楽しめる新たな環境の創造を行ったプロジェクトである。

Principal Use: Shop
Structure: R.C. Structure
Site Area: 770.89sqm
Total Floor Area: 101.12sqm
Building Site: Kai,Yamanashi
Architects: Keisuke Maeda / UID
Double Box Co., Ltd.
Completion Date: 2022